特定医療費(指定難病)-難病医療費助成制度-
- 「難病医療費助成制度」とは?
- 「具体例」を教えてください。
- 「利用できる人」とは?
- 「対象」の疾患・治療とは?
- 「対象外」の疾患・治療とは?
- 「いくら」医療費が安くなりますか?
- 「いつから」適用されますか?
- 「有効期限」はありますか?
- 「更新」はありますか?
- 「支払い済み」の医療費に使えますか?
- 「申請方法」は何ですか?
- 「申請費用」はかかりますか?
- 「相談窓口」はどこですか?
- 「必要書類」は何ですか?
- 「診断書」は必要ですか?
- 「利用方法」は何ですか?
- 「所得制限」はありますか?
- 「年齢制限」はありますか?
- 「回数制限」はありますか?
- 「家族の代理」で手続きできますか?
- 「メリット」は何ですか?
- 「デメリット」は何ですか?
- 「注意点」は何ですか?
- 「〇〇制度」との違いは何ですか?
- 【書籍・参考書】おすすめ本を紹介
- 【データ】数値で最新情報を確認
- 【関連キーワード】
- 【参考サイト】
「難病医療費助成制度」とは?
難病医療費助成制度とは、何ですか?
難病医療費助成制度とは、簡単に言うと「指定難病の方が医療費の自己負担を2割にできる制度」です。
この制度は、
- 特定医療費(指定難病)
- 難病医療費助成制度
などと呼ばれています。このページでは難病医療費助成制度で統一します!
【重要ポイント3選】
特に、症状分類が一定以上の場合に利用できます。
症状が基準に満たない場合も、一定の条件を満たすことで対象となります。
窓口での負担額が3割から2割になります。
また、所得等に応じて1ヶ月の自己負担上限額が0円〜30,000円となります。
指定難病の診断がついたら自動で適用されるわけではありません。自分で制度利用の申請が必要です。更新制なので一旦認定を受けた後も毎年手続きが必要になります。
【定義】
- タップで確認
-
「難病の患者に対する医療等に関する法律」(平成26年法律第50号)に基づき指定される指定難病について、治療方法の確立等に資するため、難病患者データの収集を効率的に行い治療研究を推進することに加え、効果的な治療方法が確立されるまでの間、長期の療養による医療費の経済的な負担が大きい患者を支援する制度です。
厚生労働省HP
「具体例」を教えてください。
この制度を使うとどのくらい医療費が節約できますか?
潰瘍性大腸炎でレミケードという薬を使った場合を考えます!
レミケードは1本あたり7万円します!体重60kgの方の場合、およそ3本使うので、7万円×3本=21万円となります…
そのため、通常では自己負担額が21万円の3割で6.3万円となりますが、この制度を利用すれば2割負担となるので4.2万円です!さらに、1ヶ月の負担上限額が最大でも3万円なので、4.2万円はこれを超えるため3万円の支払いで済みます!
この薬は1回使って終わりというわけではなく、基本的には2ヶ月に1度利用するため、トータルではかなり負担が軽減されますね!
「利用できる人」とは?
難病医療費助成制度はどんな人がもらえますか?
次の2つの条件のどちらかを満たす場合に利用できます!
- 指定難病の症状が認定基準を満たす
- 指定難病の症状が認定基準に達しないが、高額な医療を継続して利用する必要がある
認定基準については、それぞれの病気ごとに定められています!こちらで簡単に解説します!
「対象」の疾患・治療とは?
難病医療費助成制度は、どんな病気で利用できますか?
国で定められた指定難病にかかっている方が利用できます!
令和5年5月現在、指定難病は338種類あります!指定難病の中でも患者数が多い病気を5つ挙げると次のようになります!
- パーキンソン病:140,473人
- 潰瘍性大腸炎:138,079人
- 全身性エリテマトーデス:64,304人
- クローン病:48,320人
- 後縦靱帯骨化症:32,406人
- 令和3年度行政報告例より
他の指定難病は全て日本で3万人以下です!少ない病気だと数人しかいないものもあります…下に指定難病一覧を掲載します!
厚生労働省HPより
難病医療費助成制度は、基本的には、指定難病で症状が一定基準を満たす場合に利用できます!基準は各疾患ごとに定められています!
例えば、安倍元総理大臣で有名になった潰瘍性大腸炎では次のように定められています!基本的に医学的な分類基準に基づいているため、難病指定医の判断が必要となります!
厚生労働省HPより
「対象外」の疾患・治療とは?
難病医療費助成制度を利用できないのはどんな病気ですか?
「いくら」医療費が安くなりますか?
難病医療費助成制度ではいくら医療費が安くなりますか?
窓口の自己負担額が2割になります!
さらに、年収や療養の程度に応じて上限月額が設定されています!
これらをまとめると下の表のようになります!
世帯所得区分 | 自己負担割合 | 上限月額 (通常) | 上限月額 (高額かつ長期※) | 上限月額 (高額かつ長期※で 人工呼吸器等装着) |
---|---|---|---|---|
生活保護 | 0割 全額公費 | 0円 | 0円 | 0円 |
市町村民税非課税 本人年収80万円未満 | 2割 | 2,500円 | 2,500円 | 1,000円 |
市町村民税非課税 本人年収80万円以上 | 2割 | 5,000円 | 5,000円 | 1,000円 |
市町村民税 71,000円未満 | 2割 | 10,000円 | 5,000円 | 1,000円 |
市町村民税 71,000円以上 251,000円未満 | 2割 | 20,000円 | 10,000円 | 1,000円 |
市町村民税 251,000円以上 | 2割 | 30,000円 | 20,000円 | 1,000円 |
※指定難病または小児慢性特定疾病に関しての月額医療費総額が5万円を超える月が、申請日の月以前12ヶ月で既に6回以上
夫婦2人世帯の場合、
- 市町村民税71,000円:年収約370万円
- 市町村民税251,000円:年収約810万円
が目安となります!
「いつから」適用されますか?
難病医療費助成制度はいつから利用できますか?
難病医療費助成制度を申請した日から利用可能です!
受給者証が届くまでは3割負担となりますが、診断日以降に支払った余分な医療費に関しては、受給者証到着後に返還申請ができます!その場合、証明書あるいは領収書が必要となります!捨てずに取っておきましょう!
ただし、診断日から1ヶ月以上(特別な事情があれば3ヶ月以上)申請が遅れると、満額返金できなくなります!診断されたら早めに申請を行いましょう!
「有効期限」はありますか?
難病医療費助成制度の有効期限はありますか?
有効期限はあります!自治体によって異なりますが基本的に1年です!いつから1年をカウントするかが異なっています!
例えば、東京、大阪、愛知では以下の通りです!
- 東京:受付から1年間
- 大阪:1月1日から1年間
- 愛知:10月1日から1年間
都道府県ごとに異なるので、最寄りの保健所に確認してください!
更新が必要な場合は期間内に更新を行いましょう!
「更新」はありますか?
難病医療費助成制度の更新はありますか?
毎年更新が必要です!
例えば、大阪府では毎年6月頃に保健所から更新申請に関する案内が送付されます!
都道府県ごとに異なるので、最寄りの保健所に確認してください!
「支払い済み」の医療費に使えますか?
難病医療費助成制度は、支払い済みの医療費にも使えますか?
返還されません!そのため、できる限り早い段階で難病医療費助成制度の利用を開始することをお勧めします!
しかし、診断日から受給者証が届くまでに支払った医療費は返還の対象となります!受給者証が届く前は3割負担となるので、受給者証到着後、その間に余分に支払った医療費は返還請求できます!
ただし、診断日から1ヶ月以上(特別な事情があれば3ヶ月以上)申請が遅れると、満額返金できなくなります!診断されたら早めに申請を行いましょう!
返還の申請には、3割負担で医療費を支払ったときの領収書の原本あるいは証明書が必要となるので、捨てずに取っておきましょう!領収書は再発行できないので注意してください!
「申請方法」は何ですか?
難病医療費助成制度は、どうやって申請すればいいですか?
申請方法を以下のフローチャートにまとめます!
申請書類はこちらでご確認ください。
申請日から制度の利用が可能です。
受給者証発行後に返金されるので、領収書や証明書を無くさないようにしましょう。
書類に不備があると審査に余分に時間がかかるため、しっかりと準備を行いましょう。
申請から約3ヶ月かかります。
「申請費用」はかかりますか?
申請するのにお金はかかりますか?
かかりません!ただし、申請に必要となる書類(診断書など)の発行料は支払う必要があります!
病院で診断書を書いてもらうのに、3,000円〜10,000円ほどかかります…これは病院によって異なります!
「相談窓口」はどこですか?
難病医療費助成制度について相談したいときはどうしたらいいですか?
難病医療費助成制度について困ったことがある場合は、以下の場所で相談することができます!
- 保健所
- 福祉事務所
- 保健センター
GoogleやYahoo!で「お住まいの市区町村名 難病医療費助成制度 窓口」と検索し、場所をご確認ください!
「必要書類」は何ですか?
難病医療費助成制度の申請に必要になるものはありますか?
申請には以下の5つの書類が必須となります!
- 診断書(臨床調査個人票)
- 申請書(指定難病医療費支給認定用)
- 公的医療保険の被保険者証のコピー
- 市町村民税の課税状況の確認書類
- 世帯全員の住民票の写し
自治体によっては、他にも書類が必要になることがあるので、保健所で聞いてみてください!
診断書(臨床調査個人票)
臨床調査個人票の作成は、難病指定医のみ行うことができます。各都道府県の難病指定医は、こちらのサイトからリンクを辿っていくと確認できます。臨床調査個人票を作成する場合は、必ず難病指定医に依頼しましょう。指定医以外が作成したものは無効になりますのでご注意ください。
臨床調査個人票はそれぞれの病気ごとにフォーマットが決まっています。例として、潰瘍性大腸炎のものを掲載します。病気によっては、臨床調査個人票だけでなく、CT検査の結果などの資料も必要になることがあります。指定医にご確認ください。
申請書(指定難病医療費支給認定用)
申請書は専用のフォーマットがあります。各都道府県ごとに決まっていますので、お住まいの都道府県のHPからダウンロードしてください。例として、大阪府の申請書を掲載します。
「診断書」は必要ですか?
難病医療費助成制度の申請には、診断書は必要になりますか?
診断書は申請に必須の書類です!
詳しくはこちらをご確認ください!
「利用方法」は何ですか?
難病医療費助成制度を利用するにはどうしたらいいですか?
難病医療費助成制度の利用には、次の書類が必要となります!
- 受給者証
- 難病医療費助成制度の証明書
- 自己負担限度額管理表
- 1ヶ月の上限額を記録する紙
これらは制度申請後に送付されます!この2つはセットで病院に見せますので、ホッチキスでとめておきましょう!
病院ではこれらの書類に加え、健康保険証も提出してください!
「所得制限」はありますか?
難病医療費助成制度に所得制限はありますか?
難病医療費助成制度には所得制限はありません!しかし、所得に応じて負担上限月額が異なります!
詳しくはこちらでご確認ください!
「年齢制限」はありますか?
難病医療費助成制度に年齢制限はありますか?
年齢制限はありません!
「回数制限」はありますか?
難病医療費助成制度は、回数制限はありますか?
回数制限はありません!必要があれば、毎年更新を行いましょう!
「家族の代理」で手続きできますか?
難病医療費助成制度の手続きは、家族の代理でできますか?
できます!ただし、委任状などが必要となります!
詳しくは、最寄りの保健所でご確認ください!
「メリット」は何ですか?
難病医療費助成制度のメリットは何ですか?
難病医療費助成制度のメリットは、医療費が安くなることです!
「デメリット」は何ですか?
難病医療費助成制度のデメリットは何ですか?
制度自体には大きなデメリットはありません!あえて挙げると以下の3つがあります!
- 毎年更新が必要なので申請手続きが大変
- 他の制度との兼ね合いで利用できないことがある
- 基本的には問題となりません。
- 難病患者データの収集に用いられる
- もちろん、個人情報は特定できないように利用されています。
「注意点」は何ですか?
難病医療費助成制度に何か注意することはありますか?
難病医療費助成制度を申請する上でいくつか注意しておくべきことがあります!
- 対象となる治療・サービスが決まっている
- 認定基準に満たなくても利用できる場合がある
- 軽症高額該当といいます
- 自動的に適用されるものではない
- 指定難病の診断がついても勝手に医療費が安くなるものではありません。速やかに申請を行いましょう。
- 申請する前の医療費は対象外
- できるだけ早く制度の申請を行いましょう
- 制度を利用できる医療機関が限られる
- 指定医療機関で行われる治療のみ対象です
対象となる治療・サービスが決まっている
認定を受けている難病についての治療・サービスのみ対象となります。具体的に利用できるサービスは以下の通りです。
対象となる医療
- 診察
- 薬剤の支給
- 医学的処置、手術及びその他の治療
- 居宅における療養上の管理及びその治療に伴う世話その他の看護
- 病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護
対象となる介護
- 訪問看護
- 訪問リハビリテーション
- 居宅療養管理指導
- 介護療養施設サービス
- 介護予防訪問看護
- 介護予防訪問リハビリテーション
- 介護予防居宅療養管理指導
- 介護医療院サービス
利用できる医療機関は都道府県で定められています!その中から、自分が利用する医療機関を指定して、その医療機関でのみ利用することができます!
対象とならない代表例をいくつかリストアップします。
対象とならないサービス
- 支給認定期間外の医療費
- 更新はしっかりと行いましょう。
- 指定医療機関外で受けた医療費
- 医療機関は自分で指定することができます。
- 入院食(生活保護受給者等除く)
- ただし、通常では1食につき460円かかりますが、難病では260円となります。
- 認定されている病名以外の医療費
- かぜや歯科治療などを行う場合は通常の3割負担です。
- 残念ながら薬で副作用が出た場合も、それに伴う治療は適用外です。
- 保険適用外の費用
- 診断書の発行費用、差額ベッド代などは対象外です。
- 医療費助成の対象となるものを除く介護保険サービス
- 訪問介護など純粋な介護サービスは対象外です。
- 療養費の支給対象となる医療費
- 整骨院で、はり、マッサージなどを行うのは対象外です。
- 他の公費を適用した後の医療費
- 障害者医療費助成適用後には利用できません。
介護サービスを利用する場合は、別途、要介護認定を取得する必要があります!詳しくはこちらをご確認ください!
認定基準に満たなくても利用できる場合がある
指定難病の症状が認定基準に達しない場合、通常は難病医療費助成制度を利用することができません。しかし、その場合でも高額な医療を継続して利用する必要がある場合に限って、制度を利用することが可能になります。
具体的には、医療費総額が33,330円を超える月が支給認定申請月以前の12ヶ月以内に3回以上ある場合を指します。
3割負担の場合、医療費の月の自己負担額が約1万円となることが年3回以上ある場合に該当します!
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