障害者雇用
What is|障害者雇用とは?
簡単に言うと
障害者雇用とは、何ですか?
簡単に言うと「障害者手帳を持っている人を対象とした、一般の採用とは別枠の採用制度」です。
重要ポイント3選
- 身体障害者:身体障害者手帳
- 知的障害者:療育手帳(愛の手帳/愛護手帳)
- 精神障害者:精神障害者保健福祉手帳
- 発達障害:精神障害者保健福祉手帳
雇う従業員の何%以上を障害者雇用とするべきかが法律で決められています。
- 民間企業…2.3%
- 国・地方公共団体…2.6%
- 教育委員会…2.5%
- 令和5年4月1日現在
- 令和5年6月から順次引き上げられる予定です。
法定雇用率を上回っている場合にはボーナス、下回っている場合にはペナルティがあります。100人を超える社員がいる企業が対象です。
- 障害者雇用納付金… − 5万円/人(ペナルティ)
- 障害者雇用調整金… + 2.7万円/人(ボーナス)
練習問題
- 解答を見る
定義
- タップで確認
-
この法律は、障害者の雇用義務等に基づく雇用の促進等のための措置、雇用の分野における障害者と障害者でない者との均等な機会及び待遇の確保並びに障害者がその有する能力を有効に発揮することができるようにするための措置、職業リハビリテーションの措置その他障害者がその能力に適合する職業に就くこと等を通じてその職業生活において自立することを促進するための措置を総合的に講じ、もつて障害者の職業の安定を図ることを目的とする。
障害者の雇用の促進等に関する法律 第1条
具体例
Who|誰が利用できますか?(対象・対象外)
対象(病気・障害)
障害者雇用は、どんな障害が対象ですか?
障害者雇用を利用できるのは、原則、障害者手帳を持っている人です!
- 身体障害者:身体障害者手帳
- 知的障害者:療育手帳/愛の手帳
- 精神障害者:精神障害者保健福祉手帳
- 発達障害:精神障害者保健福祉手帳
対象外(病気・障害)
障害者雇用を利用できないのはどんなときですか?
障害者手帳を持っていない場合です!
ただし、障害者手帳を取得していない障害者が就職できないというわけではありません!障害者を対象とした就職支援サービスは利用できるので、こうしたサービスを利用しながら、一般雇用で就職活動を行うことは可能です!
障害年金を受給していれば、障害者雇用で応募できますか?
障害年金の受給だけでは応募できません!障害者手帳を持っていないと障害者雇用の利用はできません!
障害者雇用の利用には、障害者手帳の取得が必須です!
When|いつ利用できますか?(タイミング)
いつから(適用タイミング)
障害者雇用はいつから応募できますか?
障害者手帳を取得したら応募できます!
障害者手帳の交付には申請してから数ヶ月かかります!
また、精神障害者保健福祉手帳は初診日から申請までに最低6ヶ月かかります!そこから申請するため、交付までにさらに数ヶ月かかります!
障害者雇用の利用を考えている場合は、できるだけ早めに障害者手帳の申請を行いましょう!
時系列
関連する制度も含めて、利用の順番はこんな感じです!
病気やケガで仕事を休む場合に利用できます。
仕事を休み始めて4日目以降に利用できます。
身体:障害が残ってしまうと判断されたタイミングで申請できます。
療育:市区町村で知的障害の判定を受けると交付されます。
精神:初診日から6ヶ月以降に利用できます。
障害者医療費助成制度:各種障害者手帳取得後に利用できます。
各種障害者手帳取得後に利用できます。
初診日から1年6ヶ月以降に申請できます。
障害年金生活者支援給付金の申請も同時にできます。
Where|どこで相談できますか?(窓口)
相談窓口
障害者雇用について相談したいときはどうしたらいいですか?
障害者雇用について困ったことがある場合は、以下の場所で相談することができます!
- ハローワーク
Why|なぜ利用するのですか?(メリット)
メリット
障害者雇用のメリットは何ですか?
障害者雇用には次のメリットがあります!
- 障害のことを隠さなくて良い
- 合理的配慮が得られる
- 仕事の配置への配慮、仕事中の休憩に対する配慮など。
- 他の具体的は以下の表をご覧ください。
身体障害者への合理的配慮ランキング
順位 | 身体障害者への合理的配慮 | 割合 |
---|---|---|
1位 | 通院・服薬管理等雇用管理上の配慮 | 51.9% |
2位 | 短時間勤務等勤務時間の配慮 | 51.8% |
3位 | 能力が発揮できる仕事への配置 | 43.1% |
4位 | 休暇を取得しやすくする、勤務中の休憩を認める等休養への配慮 | 42.2% |
5位 | 配置転換等人事管理面についての配慮 | 39.6% |
6位 | 職場内における健康管理等の相談支援体制の確保 | 23.5% |
7位 | 駐車場、住宅の確保等通勤への配慮 | 22.1% |
8位 | 業務実施方法についてのわかりやすい指示 | 21.7% |
9位 | 工程の単純化等職務内容の配慮 | 20.7% |
10位 | 業務遂行を援助する者の配置 | 19.3% |
11位 | 職場での移動や作業を容易にする施設・設備・機器の改善 | 18.2% |
12位 | 職業生活に関する相談員の配置・委嘱 | 16.9% |
13位 | 雇用管理に関するマニュアル等の整備 | 14.5% |
14位 | 仕事に集中できる場や設備、休憩スペース等の確保 | 14.4% |
15位 | 関係機関等、外部機関との連携支援体制の確保 | 14.1% |
16位 | 手話通訳の配置等コミュニケーション手段への配慮 | 8.9% |
17位 | 研修・職業訓練等能力開発機会の提供 | 7.1% |
18位 | 職業以外を含めた生活全般に関する相談支援体制の確保 | 6.1% |
19位 | テレワークを活用できる | 2.5% |
20位 | 職場復帰のための訓練機会の提供 | 2.4% |
知的障害者への合理的配慮ランキング
順位 | 知的障害者への合理的配慮 | 割合 |
---|---|---|
1位 | 短時間勤務等勤務時間の配慮 | 57.6% |
2位 | 工程の単純化等職務内容の配慮 | 52.4% |
3位 | 業務実施方法についてのわかりやすい指示 | 44.2% |
4位 | 能力が発揮できる仕事への配置 | 43.8% |
5位 | 配置転換等人事管理面についての配慮 | 43.4% |
6位 | 業務遂行を援助する者の配置 | 40.8% |
7位 | 休暇を取得しやすくする、勤務中の休憩を認める等休養への配慮 | 39% |
8位 | 通院・服薬管理等雇用管理上の配慮 | 31.4% |
9位 | 関係機関等、外部機関との連携支援体制の確保 | 28% |
10位 | 仕事に集中できる場や設備、休憩スペース等の確保 | 25.3% |
11位 | 職場内における健康管理等の相談支援体制の確保 | 24.5% |
12位 | 雇用管理に関するマニュアル等の整備 | 21.2% |
13位 | 職業生活に関する相談員の配置・委嘱 | 17.9% |
14位 | 職業以外を含めた生活全般に関する相談支援体制の確保 | 14.2% |
15位 | 駐車場、住宅の確保等通勤への配慮 | 11.9% |
16位 | 職場での移動や作業を容易にする施設・設備・機器の改善 | 11.5% |
17位 | 研修・職業訓練等能力開発機会の提供 | 3.5% |
18位 | 手話通訳の配置等コミュニケーション手段への配慮 | 2.7% |
19位 | 職場復帰のための訓練機会の提供 | 2.3% |
精神障害者への合理的配慮ランキング
順位 | 精神障害者への合理的配慮 | 割合 |
---|---|---|
1位 | 短時間勤務等勤務時間の配慮 | 70.8% |
2位 | 通院・服薬管理等雇用管理上の配慮 | 52.4% |
3位 | 休暇を取得しやすくする、勤務中の休憩を認める等休養への配慮 | 50.5% |
4位 | 配置転換等人事管理面についての配慮 | 46.1% |
5位 | 能力が発揮できる仕事への配置 | 45.8% |
6位 | 業務実施方法についてのわかりやすい指示 | 39.8% |
7位 | 職場内における健康管理等の相談支援体制の確保 | 32% |
8位 | 工程の単純化等職務内容の配慮 | 30.6% |
9位 | 関係機関等、外部機関との連携支援体制の確保 | 29.4% |
10位 | 業務遂行を援助する者の配置 | 28% |
11位 | 職業生活に関する相談員の配置・委嘱 | 24.5% |
12位 | 仕事に集中できる場や設備、休憩スペース等の確保 | 19.1% |
13位 | 雇用管理に関するマニュアル等の整備 | 17.8% |
14位 | 職業以外を含めた生活全般に関する相談支援体制の確保 | 12.5% |
15位 | 駐車場、住宅の確保等通勤への配慮 | 10.9% |
16位 | 職場復帰のための訓練機会の提供 | 6.3% |
17位 | 職場での移動や作業を容易にする施設・設備・機器の改善 | 5.7% |
18位 | 研修・職業訓練等能力開発機会の提供 | 3.4% |
19位 | 手話通訳の配置等コミュニケーション手段への配慮 | 2.6% |
20位 | テレワークを活用できる | 2.2% |
発達障害の人への合理的配慮ランキング
順位 | 発達障害への合理的配慮 | 割合 |
---|---|---|
1位 | 短時間勤務等勤務時間の配慮 | 76.8% |
2位 | 通院・服薬管理等雇用管理上の配慮 | 53.2% |
3位 | 配置転換等人事管理面についての配慮 | 52.5% |
4位 | 休暇を取得しやすくする、勤務中の休憩を認める等休養への配慮 | 48.3% |
5位 | 工程の単純化等職務内容の配慮 | 46% |
6位 | 業務実施方法についてのわかりやすい指示 | 44.7% |
7位 | 能力が発揮できる仕事への配置 | 39.2% |
8位 | 職場内における健康管理等の相談支援体制の確保 | 37.3% |
9位 | 業務遂行を援助する者の配置 | 34.4% |
10位 | 雇用管理に関するマニュアル等の整備 | 28.9% |
11位 | 職業生活に関する相談員の配置・委嘱 | 27.7% |
12位 | 関係機関等、外部機関との連携支援体制の確保 | 26.5% |
13位 | 仕事に集中できる場や設備、休憩スペース等の確保 | 20.3% |
14位 | 駐車場、住宅の確保等通勤への配慮 | 13.4% |
15位 | 職業以外を含めた生活全般に関する相談支援体制の確保 | 13.2% |
16位 | 職場での移動や作業を容易にする施設・設備・機器の改善 | 9.4% |
17位 | 研修・職業訓練等能力開発機会の提供 | 5.4% |
18位 | 職場復帰のための訓練機会の提供 | 4.6% |
19位 | 手話通訳の配置等コミュニケーション手段への配慮 | 3.5% |
20位 | テレワークを活用できる | 3.3% |
デメリット
障害者雇用のデメリットは何ですか?
障害者雇用のデメリットは次の3つです!
- 給料が低い
- 正社員になりにくい、時短労働になりやすいためです。
- 障害への理解のない同僚から、誤解を受けることがある
- 新しい仕事やスキルを得にくい
How|どうやって利用しますか?(応募方法)
応募方法
障害者雇用は、どうやって応募すればいいですか?
障害者雇用で採用されるためには、以下の応募方法があります!
- ハローワークで紹介してもらう
- 企業の採用ホームページから直接応募する
- 障害者向けの求人サイトから応募する
- 障害者向けの企業説明会・合同企業説明会に参加して応募する
応募費用
応募するのにお金はかかりますか?
かかりません!
ただし、スーツなどが必要であれば、実費で購入しましょう!
必要書類
障害者雇用の応募に必要になるものはありますか?
応募には障害者手帳が必須となります!
他にも、状況に応じて様々な書類が必要なることがあるので、採用担当者に確認しましょう!
診断書
障害者雇用の応募には、診断書は必要になりますか?
診断書は基本的には不要です!障害者手帳があれば問題ありません!
ただし、採用企業によっては必要となる場合もあるので、採用担当者に確認しましょう!
注意点
障害者雇用に何か注意することはありますか?
障害者雇用の利用にはいくつか注意点があります!
- 障害者雇用で採用されるまでにかなり時間がかかることがある
- 障害者枠が少なく、探すのに時間がかかる場合があります。
- 同僚からの障害者に対する理解が得られにくいことがある
- 休みを取得するのに気を遣わないといけない職場もあります。
- 職場環境が良い企業を探して就職することも重要です。
- 社員全員が障害者雇用で入社したことを知っているわけではない
- 障害者枠での採用を知らない人から、突然、通常の業務を振られる場合もあります。
- 障害者に対する配慮が少ないことがある
- 事前に業務内容などをしっかりと確認しておくほうが良いです。
- 一般採用と違い、昇給しないことがある
- 障害者雇用向けの評価制度がない企業もあります。その場合、給与面での昇給が望めません。
How Much|給料はいくらですか?
「いくら」もらえますか?
障害者雇用ではいくら給料がもらえますか?
人によって大きく異なるため一概には言えません!
厚生労働省の『障害者雇用実態調査(H30)』で、平均給与が示されているので参考にしてください!
障害者雇用実態調査 〜厚生労働省〜 | 2008年度調査 (2009年公表) | 2013年度調査 (2014年公表) | 2018年度調査 (2019年公表) | 2023年度調査 (2024年公表) |
---|---|---|---|---|
身体障害者 | 25万4千円 | 22万3千円 | 21万5千円 | 未発表 |
知的障害者 | 11万8千円 | 10万8千円 | 12万7千円 | 未発表 |
精神障害者 | 12万9千円 | 15万9千円 | 12万5千円 | 未発表 |
発達障害 | データなし | データなし | 12万7千円 | 未発表 |
身体障害者はフルタイムでの雇用が多く、他の障害者は時短での雇用が多いため、平均給与に大きく差があります!時給が半分というわけではありません!
How Many|何人が利用していますか?(統計・体験談)
統計データ
障害者雇用で働いている人は、日本に何人いますか?
厚生労働省が毎年出している『障害者雇用状況の集計結果』が参考になります。下記をご覧ください。
障害者雇用状況(R3)
障害者雇用状況(R3)
- 身体障害者:約36万人(対前年比:約1%増)
- 知的障害者:約14万人(対前年比:約5%増)
- 精神障害者:約10万人(対前年比:約11%増)
正確な数値はこちら
障害者雇用状況(R3)
- 身体障害者:359,067.5人(対前年比:0.8%増)
- 知的障害者:140,665.0人(対前年比:4.8%増)
- 精神障害者:98,053.5人(対前年比:11.4%増)
障害者雇用実態調査(H30)
障害者雇用実態調査(H30)
- 身体障害者:42万3千人(推計)
- 知的障害者:18万9千人(推計)
- 精神障害者:20万人(推計)
- 発達障害者:3.9万人(推計)
データ比較
障害者雇用状況(R3) | 障害者雇用実態調査(H30) | |
---|---|---|
身体障害者 | 約36万人 | 推計:42万3千人 |
知的障害者 | 約14万人 | 推計:18万9千人 |
精神障害者 | 約10万人 | 推計:20万人 |
発達障害 | データなし | 推計:3.9万人 |
特例子会社
特例子会社で働いている障害者は、何人いますか?
厚生労働省『障害者雇用状況の集計結果(令和3年度)』が参考になります。下記をご覧ください。
障害者雇用状況の集計結果 〜厚生労働省〜 | 2019年度 (令和元年) | 2020年度 (令和2年) | 2021年度 (令和3年) | 2022年度 (令和4年) |
---|---|---|---|---|
身体障害者 | 1.2万人 | 1.2万人 | 1.2万人 | 未発表 |
知的障害者 | 1.9万人 | 2万人 | 2.2万人 | 未発表 |
精神障害者 | 6,000人 | 7,000人 | 8,000人 | 未発表 |
発達障害 | データなし | データなし | データなし | 未発表 |
数値は概数です。正確な数値はこちら
障害者雇用状況の集計結果 〜厚生労働省〜 | 2019年度 (令和元年) | 2020年度 (令和2年) | 2021年度 (令和3年) | 2022年度 (令和4年) |
---|---|---|---|---|
身体障害者 | 11,939.5人 | 11,573.0人 | 11,841.0人 | 未発表 |
知的障害者 | 18,885.5人 | 20,552.5人 | 22,021.0人 | 未発表 |
精神障害者 | 5,949.5人 | 6,793.0人 | 7,856.5人 | 未発表 |
発達障害 | データなし | データなし | データなし | 未発表 |
体験談
YouTubeコメント
医療費節約チャンネルに届いたコメントを一部ご紹介します!
コメントを書いた頂いた皆様、ありがとうございます!!