食事療養標準負担額
- 「食事療養標準負担額」とは?
- 「具体例」を教えてください。
- 「利用できる人」とは?
- 「対象」の疾患・治療とは?
- 「対象外」の疾患・治療とは?
- 「いくら」かかりますか?
- 「いつから」適用されますか?
- 「有効期限」はありますか?
- 「申請方法」は何ですか?
- 「申請費用」はかかりますか?
- 「相談窓口」はどこですか?
- 「必要書類」は何ですか?
- 「診断書」は必要ですか?
- 「所得制限」はありますか?
- 「年齢制限」はありますか?
- 「回数制限」はありますか?
- 「家族の代理」で手続きできますか?
- 「メリット」は何ですか?
- 「デメリット」は何ですか?
- 「注意点」は何ですか?
- 「〇〇制度」との違いは何ですか?
- 【書籍・参考書】おすすめ本を紹介
- 【データ】数値で最新情報を確認
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「食事療養標準負担額」とは?
食事療養標準負担額とは、何ですか?
簡単に言うと「実際に支払う入院食代のことで、原則、1食当たり460円」です。
【重要ポイント3選】
1日で約1500円、1週間で約1万円、1ヶ月で約4万円かかります。
入院時に自動的に適用される制度です。
減額対象となる場合は申請が必要になることがあります。
入院食代は高額療養費制度の適用外です。食事療養標準負担額は全額支払う必要があります。
【練習問題】
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【定義】
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-
平均的な家計における食費の状況及び特定介護保険施設等(介護保険法第五十一条の三第一項に規定する特定介護保険施設等をいう。)における食事の提供に要する平均的な費用の額を勘案して厚生労働大臣が定める額(所得の状況その他の事情をしん酌して厚生労働省令で定める者については、別に定める額。以下「食事療養標準負担額」という。)
健康保険法第85条の2 一部抜粋
- 全文
-
1 被保険者(特定長期入院被保険者を除く。)が、厚生労働省令で定めるところにより、第六十三条第三項各号に掲げる病院又は診療所のうち自己の選定するものから、電子資格確認等により、被保険者であることの確認を受け、同条第一項第五号に掲げる療養の給付と併せて受けた食事療養に要した費用について、入院時食事療養費を支給する。
2 入院時食事療養費の額は、当該食事療養につき食事療養に要する平均的な費用の額を勘案して厚生労働大臣が定める基準により算定した費用の額(その額が現に当該食事療養に要した費用の額を超えるときは、当該現に食事療養に要した費用の額)から、平均的な家計における食費の状況及び特定介護保険施設等(介護保険法第五十一条の三第一項に規定する特定介護保険施設等をいう。)における食事の提供に要する平均的な費用の額を勘案して厚生労働大臣が定める額(所得の状況その他の事情をしん酌して厚生労働省令で定める者については、別に定める額。以下「食事療養標準負担額」という。)を控除した額とする。
健康保険法第85条の1、2
「具体例」を教えてください。
「利用できる人」とは?
食事療養標準負担額はどんな人が適用になりますか?
公的医療保険に加入していれば、入院した時に自動的に適用されます!
指定難病を患っている場合や所得が低い場合などでは、通常の1食460円より安くなることもあります!詳しくはこちらをご確認ください!
「対象」の疾患・治療とは?
食事療養標準負担額は、どんな疾患で適用になりますか?
公的医療保険が利用できる病気やケガで対象となります!病気やケガなどで入院したときに、一般的な治療を受ける場合は利用できるのでご安心ください!
先進医療など、公的医療保険が使えない治療をうける場合も、国で定められた治療方法(評価療養)であれば、食事療養標準負担額が適用になります!
「対象外」の疾患・治療とは?
食事療養標準負担額を適用できないのはどんな疾患ですか?
自由診療による入院では適用外です!例えば、次の場合は自由診療なので入院時の食事代も全額自費となります!
- 美容整形
- 出産
- 人間ドック
他にも、豪華な特別メニューを提供している病院がありますが、そうしたメニューは別途料金がかかります!ご注意ください!
「いくら」かかりますか?
食事療養標準負担額はいくらになりますか?
原則、1食460円で固定の自己負担となります!
以下に当てはまる場合は、自己負担額が減額される場合があります!
- 指定難病
- 小児慢性特定疾患
- 住民税非課税世帯
- 市民税非課税で世帯全員の所得が0円の世帯における70歳から74歳
- 75歳以上
以上をまとめた表を以下に掲載します!
食事療養標準負担額早見表
74歳以下
標準 | 指定難病 小児慢性特定疾患 | 住民税 非課税世帯 (※1) | 一部(※2)の 70〜74歳 | 生活保護 | |
---|---|---|---|---|---|
1食 | 460円 | 260円 | 210円 | 100円 | 0円 |
1日 (3食) | 1,380円 | 780円 | 630円 | 300円 | 0円 |
1週間 (7日) | 約1万円 (9,960円) | 5,460円 | 4,410円 | 2,100円 | 0円 |
2週間 (14日) | 約2万円 (19,320円) | 10,920円 | 8,820円 | 4,200円 | 0円 |
1ヶ月 (30日) | 約4万円 (41,400円) | 23,400円 | 18,900円 | 9,000円 | 0円 |
※1:過去1年の総入院日数が90日を超えるとさらに減額されます
※2:市民税非課税で世帯全員の所得が0円の世帯
75歳以上
一般所得者 | 指定難病 (区分II・Iを除く) | 区分Ⅱ (※ア) | 区分Ⅰ (※イ) | 生活保護 | |
---|---|---|---|---|---|
1食 | 460円 | 260円 | 210円 | 100円 | 0円 |
1日 (3食) | 1,380円 | 780円 | 630円 | 300円 | 0円 |
1週間 (7日) | 約1万円 (9,960円) | 5,460円 | 4,410円 | 2,100円 | 0円 |
2週間 (14日) | 約2万円 (19,320円) | 10,920円 | 8,820円 | 4,200円 | 0円 |
1ヶ月 (30日) | 約4万円 (41,400円) | 23,400円 | 18,900円 | 9,000円 | 0円 |
※ア:世帯員全員が住民税非課税であり区分Ⅰに該当しない。過去1年の総入院日数が90日を超えるとさらに減額されます。
※イ:世帯員全員が住民税非課税であり、世帯全員が損益通算、純損失・雑損失の繰越控除適用後の各所得金額が全て0円の方(世帯の方で給与所得のある方はその方の給与所得から10万円を控除した金額(その金額が0円を下回るときは0円)とし、公的年金は控除額を80万円で計算)及び老齢福祉年金受給者である方
保険が効いていないようで効いている食事療養標準負担額の仕組みについて簡単に解説します!
食事療養標準負担額の仕組み
健康保険が効く場合のほとんどは、3割負担のような定率負担となります。しかし、入院食代は例外で、460円の定額負担となります。病院食代の本当の値段は通常640円ですが、健康保険が180円を負担するため、患者さんの自己負担額は460円となります。
この自己負担額460円を指して食事療養標準負担額と呼んでいます!ちなみに、健康保険で負担される180円のことを入院時食事療養費と呼びます!
この2つをごちゃごちゃにしている解説が多いので、どちらを意味しているのか文脈で理解するようにしましょう!ちなみに僕も昔は誤解していました(笑)
入院食代は「保険は効いているけど、3割負担ではなく定額負担」ということです。健康な人でも病気の人でも基本的にご飯を食べるので、入院患者さんもある程度は自己負担しましょうという考え方です。
公定価格 | 自己負担額 | 計算方法 | |
---|---|---|---|
薬代 | 640円 | 192円 | 3割負担 (70%OFF) |
入院食代 | 640円 | 460円 | 180円引き |
もう1度まとめます!
- 実際に支払う入院食代(460円)=食事療養標準負担額
- 健康保険が実は払っている入院食代(180円)=入院時食事療養費
- 病院が受け取っている入院食代(640円)=食事療養標準負担額+入院時食事療養費
「いつから」適用されますか?
食事療養標準負担額はいつから適用されますか?
入院当日から自動的に適用されます!
住民税非課税世帯で食事療養標準負担額を減額したい場合は、限度額適用・標準負担額減額認定証の提出が必要になります!
ただし、最近はオンライン資格確認等システムを利用している医療機関が多いため、この申請が不要になることが多いです!詳しくは医療機関の窓口でご確認ください!
「有効期限」はありますか?
食事療養標準負担額に有効期限はありますか?
有効期限はありません!入院している間はずっと定額で利用できます!
また、住民税非課税世帯では、過去1年間の入院期間が90日を超えるとさらに減額されます!
「申請方法」は何ですか?
食事療養標準負担額は、どうやって申請すればいいですか?
基本的には申請は必要ありません!自動的に適用されています!
住民税非課税世帯で減額を行う場合も、最近はオンライン資格確認等システムを利用している医療機関が多いため、多くの医療機関で申請が不要となっています!
医療機関で申請してください、と言われた場合は以下の流れで手続きを進めましょう!
「申請費用」はかかりますか?
減額申請するのにお金はかかりますか?
かかりません!
「相談窓口」はどこですか?
食事療養標準負担額について相談したいときはどうしたらいいですか?
食事療養標準負担額について困ったことがある場合は、以下の場所で相談することができます!
- 医療機関の窓口
- 市区町村役場
基本的には医療機関の窓口でご確認ください!減額申請の手続きが必要になった場合は、市区町村役場で相談することができます!
「必要書類」は何ですか?
食事療養標準負担額の申請に必要になるものはありますか?
基本的には申請は不要なので特に必要な書類はありません!
しかし、住民税非課税世帯で減額を行う場合に申請が必要になることがあります!その場合は、以下の3つの書類が必要になります!
- 保険証
- マイナンバーが確認できるもの
- 本人確認資料(マイナンバーカード、運転免許証など)
他にも、状況に応じて他の書類が必要になることがあるので、市区町村の役場で聞いてみてください!
「診断書」は必要ですか?
食事療養標準負担額の申請には、診断書は必要になりますか?
診断書は不要です!ただの病院食代ですからね!
「所得制限」はありますか?
食事療養標準負担額に所得制限はありますか?
所得制限はありません!
ただし、住民税非課税世帯の場合、通常の460円よりも減額されます!詳しくはこちらをご確認ください!
「年齢制限」はありますか?
食事療養標準負担額に年齢制限はありますか?
基本的に年齢制限はありません!
ただし、減額される基準が75歳未満と75歳以上で若干異なります!詳しくはこちらをご確認ください!
「回数制限」はありますか?
食事療養標準負担額は、回数制限はありますか?
基本的にはありません!何日入院していても利用できます!
ただし、1日あたりの食事回数は3回までと決められています!食事の量が足りないから4食目、というのはできないのでご注意ください!
「家族の代理」で手続きできますか?
食事療養標準負担額の減額手続きは、家族の代理でできますか?
できます!ただし、委任状が必要となる場合があります!
「メリット」は何ですか?
食事療養標準負担額のメリットは何ですか?
食事代が安くなります!栄養バランスが考えられており、配膳まで全部やってもらえるので、そういう意味ではかなりお手頃価格です!
「デメリット」は何ですか?
食事療養標準負担額のデメリットは何ですか?
デメリットは特にありません!
あえてあげるなら、高額療養費制度の対象外であることです!
「注意点」は何ですか?
食事療養標準負担額に何か注意することはありますか?
2点ほど注意が必要です!
- 高額療養費制度の対象外
- 高額療養費制度を利用すると1ヶ月の最大支払い額は約8万円となりますが、入院食代は別で支払う必要があります。そのため、高額療養費制度を利用しても、1ヶ月入院すると入院食代が追加で約4万円かかるため、総支払額は約12万円となります。
- 入院食代も医療費控除の対象なる
- 食事代は入院費用の一部なので、通常提供される入院食に関しては控除の対象です。
- 国税庁の答申を以下に掲載します。
【照会要旨】
病院に支払う入院患者の食事代は、医療費控除の対象になりますか。【回答要旨】
病院に支払う入院患者の食事代は、いわゆる入院費用の一部であり、入院の対価として支払われるものですので、通常必要なものに限り、医療費控除の対象となります(所得税基本通達73-3)。(注) 病室に出前をとったり外食をした場合の食事代や、おやつ代など、病院から給付される食事以外の食事の費用は、入院の対価には当たらないことから、医療費控除の対象とはなりません。
国税庁『入院患者の食事代』