高額介護合算療養費制度
What is|高額介護合算療養費制度とは?
簡単に言うと
高額介護合算療養費制度とは、何ですか?
簡単に言うと「医療と介護の両方を利用している世帯が、その費用の一部を返金してもらえる制度」です。
ちなみに、医療保険サイドの呼び方が「高額介護合算療養費制度」で、介護保険サイドの呼び方は「高額医療合算介護(予防)サービス費」です。利用者側からすれば、どちらで呼んでも差し支えないので、このサイトでは「高額介護合算療養費制度」として説明します!
重要ポイント3選
医療だけを利用している世帯は対象外です。
医療と介護の両方を利用して初めて利用できる制度です。
8月1日から翌年の7月31日までの総額で、支給対象となるかが判定されます。
所得に応じて、支給となるかの限度額が異なります。
高額介護合算療養費制度を利用する世帯の多くは、国民健康保険や後期高齢者医療制度を利用しているので、市区町村の窓口で申請すれば大丈夫です。
定義
- タップで確認
-
高額介護合算療養費は、次に掲げる額を合算した額から七十歳以上介護合算支給総額(次項の七十歳以上介護合算一部負担金等世帯合算額から同項の七十歳以上介護合算算定基準額を控除した額(当該額が健康保険法施行令第四十三条の二第一項に規定する支給基準額(以下この条において「支給基準額」という。)以下である場合又は当該七十歳以上介護合算一部負担金等世帯合算額の算定につき次項ただし書に該当する場合には、零とする。)をいう。)を控除した額(以下この項において「介護合算一部負担金等世帯合算額」という。)が介護合算算定基準額に支給基準額を加えた額を超える場合に基準日世帯主等に支給するものとし、その額は、介護合算一部負担金等世帯合算額から介護合算算定基準額を控除した額に介護合算按分率(第一号に掲げる額から次項の規定により支給される高額介護合算療養費の額を控除した額を、介護合算一部負担金等世帯合算額で除して得た率をいう。)を乗じて得た額とする。ただし、同号から第五号までに掲げる額を合算した額又は第六号及び第七号に掲げる額を合算した額が零であるときは、この限りでない。
国民健康保険法 第29条の4
具体例
住民税非課税世帯の2人暮らしの70歳夫婦です。
1年間で医療保険に20万円、介護保険に15万円支払ったのですが、高額介護合算療養費制度は使えますか?
高額介護合算療養費制度が使えます!
70歳で住民税非課税世帯の場合、限度額が31万円となります!
そのため、1年間の医療費+介護費=35万円で限度額を超えているため、この差額35万円−31万円=4万円が返金されます!
Who|誰が利用できますか?(対象・対象外)
利用できる人(前提条件)
高額介護合算療養費制度はどんな人が利用できますか?
次の3つの条件を満たす人が利用できる制度です!
- 医療と介護の両方を利用している世帯
- 片方だけを利用している場合は対象外です。
- 年間の医療費と介護費の合計金額が自己負担限度額を超えている
- 自己負担限度額についてはこちらで解説しています。
- 厳密には自己負担限度額+500円以上の支払いがないと支給対象となりません。
- 保険料を支払っている
- 国民健康保険の場合、自分で保険料を支払う必要があるので、滞納しないように注意しましょう。
- 後期高齢者医療制度の場合は、年金から天引きされていることが多いので問題ありません。
これらの条件を満たした場合、支払った金額の一部が返金されます!
対象(病気・障害)
高額介護合算療養費制度は、どんな病気やケガが対象ですか?
対象外(病気・障害)
高額介護合算療養費制度を利用できないのはどんなときですか?
医療と介護それぞれで対象・対象外が決められています!
- 医療費に関して
- 保険適用外の医療費には使えません。例えば、以下の費用は対象となりません。
- 自由診療
- 例:美容整形、人間ドック、脱毛
- 先進医療
- 例:がんの陽子線治療、重粒子線治療
- 差額ベッド代
- 例:個室、少人数部屋代
- 食事療養標準負担額
- 病院食のことです。
- 自由診療
- 保険適用外の医療費には使えません。例えば、以下の費用は対象となりません。
- 介護費に関して
- 介護保険が使えないサービスは対象外です。例えば、以下の費用は対象となりません。
- 民間老人ホームの入居費用
- 特養などの施設サービスにおける、居住費や食費
- 居住費や食費を減額できる制度もあります。詳しくは、「特定入所者介護サービス費(補足給付)」をご覧ください。
- ショートステイなどの短期入所における、滞在費
- 美容院代などの生活費
- 介護保険が利用できるサービスでも、一部対象外のものがあります。以下のサービスでは対象外となります。
- 特定福祉用具販売
- ポータブルトイレなどの購入費用。
- 居宅介護住宅改修費支給
- 自宅に手すりを設置するときなどにもらえる費用。
- 介護保険の支給限度額を超えて、全額自己負担で利用したサービス費用
- 詳しくは、こちらをご確認ください。
- 特定福祉用具販売
- 介護保険が使えないサービスは対象外です。例えば、以下の費用は対象となりません。
When|いつ利用できますか?(タイミング)
いつから(適用タイミング)
高額介護合算療養費制度はいつからもらえますか?
申請を行うことで返金されます!自動で適用される制度ではありません!
高額介護合算療養費制度を利用できるタイミングで、お住まいの自治体から申請書が送付されます!2年以内に手続きを行わないと返金されないため、忘れずに申請を行いましょう!
ただし、自治体によっては申請書の送付がないこともあるので、自分が制度の対象かもと思ったら、市区町村窓口に確認してみましょう!
支払い済みの医療費・介護費
高額介護合算療養費制度は支払い済みの医療費・介護費にも使えますか?
基準日(7月31日)の翌日から2年以内(後述)のものであれば対象です!それ以前のものに関しては対象外となってしまうため、早めに申請をしましょう!
また、亡くなった人の場合、死亡日の翌日から2年以内のものが対象となります!
基準日(7月31日)の翌日から2年以内とは
具体的に、2023年12月に高額介護合算療養費の申請を行うことを想定して説明します。
高額介護合算療養費制度は、8月1日から翌年7月31日までの医療費と介護費の総額に対して支給される制度です。
そのため、2023年12月に申請できるのは、いつの分の支払額なのか見ていきましょう。
- 2022年8月1日〜2023年7月31日分
- 2023年8月1日が基準日の翌日となるため、2023年12月はこの日から2年以内なので対象です。
- 2021年8月1日〜2022年7月31日分
- 2022年8月1日が基準日の翌日となるため、2023年12月はこの日から2年以内なので対象です。
- 2020年8月1日〜2021年7月31日分
- 2021年8月1日が基準日の翌日となるため、2023年12月はこの日から2年を過ぎているため時効です。
つまり、2023年12月に申請しようとする場合、2021年8月1日からの支払い済み医療費・介護費に関してが対象となります。そのため、実際には、申請しようとする日から2年以上すぎている分も一部は対象となります。
だから、この制度を知らなくて申請していなかった場合、7月中に申請すれば丸々1年分多くもらえることになります!8月になってしまうと、もらえる金額が1年分少なくなってしまうので注意しましょう!
時系列
関連する制度も含めて、利用の順番はこんな感じです!
医療費が高額になった月に使える制度です。
これを利用していなくても、高額介護合算療養費制度を使うことは可能です。
介護保険を利用するのに必須です。
介護費用が高額になった月に使える制度です。
これを利用していなくても、高額介護合算療養費制度を使うことは可能です。
年間の医療費+介護費が一定の金額を超えると利用できます。
Where|どこで相談できますか?(窓口)
相談窓口
高額介護合算療養費制度について相談したいときはどうしたらいいですか?
高額介護合算療養費制度について困ったことがある場合は、以下の場所で相談することができます!
- 市区町村窓口
- 各医療保険窓口
- 国民健康保険、後期高齢者医療制度の場合、市区町村窓口で大丈夫です。
- 担当のケアマネジャー
Why|なぜ利用するのですか?(メリット)
メリット
高額介護合算療養費制度のメリットは何ですか?
高額介護合算療養費制度のメリットは、医療費と介護費を軽減できることです!
介護保険サービスは利用し続けることがほとんどです!介護が長期化することも多いため、長い目で見ればかなり大きな額を節約することができます!
申請書が届いたら、忘れずに申請を行いましょう!
デメリット
高額介護合算療養費制度のデメリットは何ですか?
高額介護合算療養費制度のデメリットはほぼありません!
敢えて挙げるなら、医療費控除額が減額されることです!
しかし、医療費控除の減額は、実際に高額介護合算療養費制度で返金される額に比べたら非常に小さな額です!そのため、このデメリットは気にする必要がなく、高額介護合算療養費制度が利用できるのであれば、積極的に活用することをお勧めします!
How|どうやって利用しますか?(申請方法)
申請方法
高額介護合算療養費制度は、どうやって申請すればいいですか?
申請方法を以下のフローチャートにまとめます!
一旦、上限額を超えている分も自己負担する必要があります。
自治体によっては申請書が送付されないので、その場合は市区町村窓口へ相談に行きましょう。
必要書類はこちらでご確認ください。
医療費や介護費が確定してから返金手続きがされるため、早くても12月以降に返金されます。
申請費用
申請するのにお金はかかりますか?
かかりません!
必要書類
高額介護合算療養費制度の申請に必要になるものはありますか?
申請には以下の5つの書類が必須となります!
- 支給申請書
- 医療保険の被保険者証(後期高齢者医療制度もしくは国民健康保険)
- 介護保険の被保険者証
- マイナンバーが分かるもの
- 通帳など振込先の口座番号が分かるもの
他にも、状況に応じて書類が必要なることがあるので、市区町村の役場で聞いてみてください!
診断書
高額介護合算療養費制度の申請には、診断書は必要になりますか?
診断書は不要です!
代理申請
高額介護合算療養費制度の手続きは、家族の代理でできますか?
できます!
有効期限
高額介護合算療養費制度の有効期限はありますか?
申請には有効期限があります!2年以内に申請を行わないと無効になります!
詳しくはこちらをご覧ください!
更新
高額介護合算療養費制度の更新はありますか?
毎年申請が必要です!対象となる場合は、忘れずに申請を行いましょう!
申請を1度だけにしようという動きも出ているので、いずれは毎年の申請が不要になるかもしれません!
所得制限
高額介護合算療養費制度に所得制限はありますか?
高額介護合算療養費制度では、所得によって年間の上限額が設定されています!
基本的には、世帯合計での上限額の設定となっています!そのため、夫婦で医療介護サービスを利用している場合、2人の合計金額が上限額を超えていれば、その差額分が返金されます!
高額介護合算療養費制度自己負担上限額
70歳以上 | 70歳未満 | |
年収約1,160万円以上 | 212万円 | 212万円 |
年収770万~1,160万円 | 141万円 | 141万円 |
年収370万~770万円 | 67万円 | 67万円 |
年収156万~370万円 | 56万円 | 60万円 |
市町村民税世帯非課税等 | 31万円 | 34万円 |
市町村民税世帯非課税 (世帯全員に所得がない) | 19万円* |
この表の金額+500円を超えて自己負担がある場合、支給の対象となります!
年齢制限
高額介護合算療養費制度に年齢制限はありますか?
高額介護合算療養費制度を利用するには介護保険の利用が必須となるので、40歳以上が対象です!
ただし、制度利用者のほとんどは75歳以上の後期高齢者となっています!
回数制限
高額介護合算療養費制度は、回数制限はありますか?
回数制限はありません!何回でも利用できる制度です!
注意点
高額介護合算療養費制度に何か注意することはありますか?
いくつか注意点があります!
- 申請が必要
- 申請書は送付されることが多いですが、申請自体は行う必要があります。2年以内に申請を行わないと返金されないので注意しましょう。
- 領収書は必要ない
- 申請には領収書が不要です。気軽に申請できます。
- 高額療養費制度や高額介護サービス費を利用していても使える
- 月ごとの負担上限額を設定してくれる高額療養費制度や高額介護サービス費を利用していても、年間の支払い総額が多くなれば、高額介護合算療養費制度を利用することができます。
- 逆に、高額療養費制度や高額介護サービス費を利用していない場合でも使うことができます。
- 医療費を世帯で合算できないことがある
- 医療保険における世帯とは、住民票で同一世帯とは異なります。
- 同じ医療保険に加入してないと合算できないため、後期高齢者医療制度と国民健康保険では合算ができません。
- 対象にならない介護費用がある
- こちらをご確認ください。
- 負担上限額が変わる場合がある
- 前年度の所得に応じて上限額が決定されます。
- 息子、娘などと同居すると負担上限額が増加することがある
- 利用者本人が非課税でも、息子、娘などの同居家族に課税所得があると、課税世帯の負担上限額が設定されます。
How Much|いくら得しますか?(節約効果)
「いくら」医療費・介護費が安くなりますか?
高額介護合算療養費制度はいくらもらえますか?
自己負担額と上限負担額の差額が返金されます!
つまり、医療費・介護費の総額が35万円、上限負担額が31万円の場合、この差額の4万円が返金されます!
実際の返金額は市区町村で自動で計算されるため、あまり詳細まで気にする必要はありません!目安程度に知っておきましょう!
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