精神障害者保健福祉手帳
- 「精神障害者保健福祉手帳」とは?
- 「具体例」を教えてください。
- 「利用できる人」とは?
- 「対象」の疾患・治療とは?
- 「対象外」の疾患・治療とは?
- 「いくら」医療費が安くなりますか?
- 「いつから」適用されますか?
- 「申請方法」は何ですか?
- 「申請費用」はかかりますか?
- 「相談窓口」はどこですか?
- 「必要書類」は何ですか?
- 「診断書」は必要ですか?
- 「所得制限」はありますか?
- 「年齢制限」はありますか?
- 「家族の代理」で手続きできますか?
- 「メリット」は何ですか?
- 「デメリット」は何ですか?
- 「注意点」は何ですか?
- 「〇〇制度」との違いは何ですか?
- 体験談を教えてもらえますか?
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「精神障害者保健福祉手帳」とは?
精神障害者保健福祉手帳とは、何ですか?
精神障害者保健福祉手帳とは、簡単に言うと「うつ病・統合失調症・てんかんなど心や脳の病気の方のための手帳」です。
【重要ポイント3選】
うつ病や統合失調症、てんかんなどで対象となります。
1級が最も重い等級です。
【練習問題】
精神障害者保健福祉手帳について、正しいのはどれか.
りゅうオリジナル問題
- 1:障害等級が1級から6級の6段階に分かれている.
- 2:18歳未満のものに交付されない.
- 3:手帳が1級の場合、障害年金は1級となる.
- 4:障害者雇用の対象は、1級及び2級のみである.
- 5:申請は市区町村の窓口で行う.
- 解答を見る
-
- 1:障害等級が1級から6級の6段階に分かれている.
- 誤り.
- 3段階(身体障害者手帳は6段階)
- 2:18歳未満のものに交付されない.
- 誤り.
- 年齢制限はないが、知的障害は療育手帳の対象.
- 3:3:手帳が1級の場合、障害年金は1級となる.
- 誤り.
- 障害年金とは全く別の制度.
- ただし、精神障害で障害年金を受給している場合、対応する等級の手帳が交付される.
- 4:障害者雇用の対象は、1級及び2級のみである.
- 誤り.
- 全ての等級が対象.
- “重度”の扱いはない.
- 5:申請は市区町村の窓口で行う.
- 正しい。
- 1:障害等級が1級から6級の6段階に分かれている.
【定義】
- タップで確認
-
精神障害者(知的障害者を除く。以下この章及び次章において同じ。)は、厚生労働省令で定める書類を添えて、その居住地(居住地を有しないときは、その現在地)の都道府県知事に精神障害者保健福祉手帳の交付を申請することができる。
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律 第45条の1
「具体例」を教えてください。
うつ病で3級の精神障害者保健福祉手帳を取得した方のエピソードを紹介します!
精神障害福祉手帳を取得して良かったことは税金の控除があり、会社では障害者雇用になり仕事の分量が減ったことです。映画も障害者手帳を見せると1000円で見ることができるので、とてもお得な感じがします。
一方、自分が障害者になってしまうことに躊躇することがありました。また、映画を見るときに手帳を見せなければならず、そのときに恥ずかしさがあります。仕事の分量が減ったのはありがたいのですが、任される仕事が減ったことで、やりがいが感じられなくなりました。こうした点は、メリットとデメリットが表裏一体だと思います。
精神障害福祉手帳を取る人は、自立支援医療も利用した方が良いです。通院での治療代と薬代が1割負担になり、経済的にも楽になります。また、可能ならば、障害年金の申請にチャレンジする事もお勧めします。私は、障害年金も受給しています。
精神障害福祉手帳を取得することで多くのサービスを受けることができます!この方がおっしゃっているように、自立支援医療や障害年金など似たサービスも併用できるので、このページで合わせて解説していきたいと思います!
「利用できる人」とは?
精神障害者保健福祉手帳はどんな人がもらえますか?
精神障害者保健福祉手帳は、次の2つの条件に該当する方が取得できます!
- 「初診日」要件
- 「障害状態」要件
「初診日」要件
「初診日」要件とは、精神障害についての初診日から6ヶ月が経過していることを言います。
初診日から6ヶ月以内に作成した診断書は無効になるので注意しましょう!
「障害状態」要件
「障害状態」要件とは、精神障害があり、そのせいで活動制限があることを言います。身体障害認定とは異なり、この病気でこういう状態なら何級と1対1で決まっているわけではありません。障害の状態を総合的に判断されます。
そうは言っても、精神障害者保健福祉手帳の認定に一定の基準は存在します!こちらをご確認ください!
「対象」の疾患・治療とは?
精神障害者保健福祉手帳は、どんな障害で受け取ることができますか?
全ての精神障害が対象となります!例えば以下の疾患が含まれます!
- 統合失調症
- うつ病、そううつ病などの気分障害
- てんかん
- 薬物依存症
- 高次脳機能障害
- 発達障害(自閉症、学習障害、注意欠陥多動性障害等)
- そのほかの精神疾患(ストレス関連障害等)
細かい対象疾患とその程度については、精神障害者保健福祉手帳障害等級判定基準に記載されています!下に掲載しますので参考にしてください!
「対象外」の疾患・治療とは?
精神障害者保健福祉手帳を受け取ることができないのはどんな障害ですか?
上で示した精神障害者保健福祉手帳障害等級判定基準に掲載がない場合は受け取ることができません!知的障害のみでは療育手帳の対象となります!
また、発症後すぐや一時的な障害では、初診日から6ヶ月が経過という条件を満たすことができないので対象外となります!
「いくら」医療費が安くなりますか?
精神障害者保健福祉手帳を持っていると医療費は安くなりますか?
精神障害者保健福祉手帳を持っているだけでは、医療費は安くなりません!
医療費を安くするには、障害者医療費助成制度の申請を行い受給者証を取得する必要があります!これを医療機関で見せることで医療費の補助を受けることができます!
また、精神障害者保健福祉手帳の取得前から使える自立支援医療という制度もあります!こちらも別途申請が必要となりますが、精神科通院にかかる医療費の自己負担額を1割にすることができます!
どちらの制度を利用するにしても、医療機関で精神障害者保健福祉手帳を見せても割引にならないので注意しましょう!
障害者医療費助成制度
医療費の自己負担額の一部を各市区町村が助成する制度です。そのため、誰が対象となるのか、いくら安くなるのか、に関しては各市区町村ごとにまちまちです。
たとえば、大阪市は「重度障がい者医療費助成制度」という制度です。精神障害者に限って内容を簡単にまとめます。
- 対象
- 精神障害者保健福祉手帳「1級」所持者
- (2級・3級は対象外です。)
- 精神障害者保健福祉手帳「1級」所持者
- 助成内容
- 1日あたり1医療機関での最大自己負担額:500円
- 1ヶ月の最大自己負担額:3000円
障害者医療費助成制度についての詳しい解説はこちらをご確認ください!
自立支援医療(精神通院医療)
医療費の自己負担額の一部を公費で負担する制度です。
「公費=税金」と考えてOKです!
自立支援医療には次の3つがあります。
- 育成医療
- 18歳未満の身体障害
- 更生医療
- 18歳以上の身体障害
- 精神通院医療
- 精神疾患
精神疾患に関わるのは精神通院医療だけなので、これに限って簡単に説明します!
精神通院医療の制度の対象と補助の内容は以下の通りです。
- 対象
- 精神疾患があり、精神科に通院している人(診断書の取得が必須)
- 助成内容
- 精神科に通院したとき、自己負担額が1割
ただし、精神科通院なので、入院する場合には利用できません。
この制度を利用するためには、事前に申請が必要となります。しかし、必要要件に精神障害者保健福祉手帳はありませんので、手帳取得前から利用できる制度です。
所得や疾患の状況に応じて、自己負担の限度額が変わります!詳しくは、こちらをご確認ください!
お金に関わる制度の時系列
精神障害に関する、経済的負担を軽くする制度を最短で利用できる順番に並べると次のようになります。
精神疾患で通院し、診断書をもらうことができれば申請できます。
精神科通院にかかる治療費を抑えることができます。
初診日から6ヶ月以降に申請できます。
手帳を持っているだけでは医療費は安くなりませんが、税金・公共料金などが安くなります。
精神障害者保健福祉手帳を取得した後で申請できます。
医療費の負担を抑えることができます。
市町村によって、利用できる等級が異なります。
初診日から1年6ヶ月以降に申請できます。
2ヶ月に1回障害年金が振り込まれます。
あくまで最短で利用できる順番に並べています!必ずこの順番に申請しないと利用できない、というわけではありません!
障害者医療費助成制度のみ、精神障害者保健福祉手帳の事前取得が必須ですが、他の制度に関してはそういった要件はありません!
障害年金については、こちらもご確認ください!
「いつから」適用されますか?
精神障害者保健福祉手帳はいつからもらえますか?
精神障害者保健福祉手帳は、申請から1、2か月程度で交付されます!
更新の手続きは、有効期限の3か月前から行うことができます!交付には時間がかかるので、余裕を持って手続きを行いましょう!
「申請方法」は何ですか?
精神障害者保健福祉手帳は、どうやって申請すればいいですか?
申請の方法は、障害年金をもらっていない人か、既に受給をしている人かで若干異なります!違いは次の2点です!
- 提出書類
- 手帳の等級判定方法
障害年金を受給していても、障害年金をもらっていない人と同じ申請方法をすることは可能です!メリット・デメリットを比較してどちらの方法で申請するか決めましょう!
基本的な申請方法をフローチャートにまとめます!
申請に必要な書類を受け取ることができます。
必要な書類はこちらでご確認ください。
市区町村窓口や精神保健福祉センターで申請できます。
審査には通常1、2か月かかります。
以下の項目を基準に等級の審査が行われます。
- 精神疾患の存在の確認
- 精神疾患(機能障害)の状態の確認
- 能力障害(活動制限)の状態の確認
- 精神障害の程度の総合判定
市区町村窓口や精神保健福祉センターで受け取ることができます。
障害年金を受給している場合についての補足です!
提出書類はこちらでご確認ください!
審査方法ですが、障害年金を受給している場合は、交付される手帳の等級が年金と同じになります!つまり、障害年金1級であれば手帳も1級です!したがって、障害年金の等級が高い場合は手帳をもらう際に有利になります!
障害年金の等級が低い場合、診断書を提出して普通に申請を行えば、手帳用の審査がされるため、障害年金の等級よりも手帳の等級の方が高くなることもあります!
「申請費用」はかかりますか?
申請するのにお金はかかりますか?
申請費用はかかりません!無料です!
ただし、申請に必要となる以下の費用は自己負担となります!
- 診断のための受診
- 診断書の発行費用
- 証明写真代
- 申請のための交通費
病院で診断書を書いてもらうのに、3,000円〜10,000円ほどかかります…これは病院によって異なります!
「相談窓口」はどこですか?
精神障害者保健福祉手帳について相談したいときはどうしたらいいですか?
精神障害者保健福祉手帳について困ったことがある場合は、以下の場所で相談することができます!
- 市区町村の窓口
- 精神保健福祉センター
GoogleやYahoo!で「お住まいの市区町村名 精神障害者手帳 窓口」と検索し、場所をご確認ください!
「必要書類」は何ですか?
精神障害者保健福祉手帳の申請に必要になるものはありますか?
市区町村によって異なります!例として、大阪市で申請する場合に必要な書類を掲載します!
引用:「大阪市」ホームページ
- 精神障がい者保健福祉手帳申請書
- 診断書(精神障がい者保健福祉手帳用)〔※所定様式、初診日から6か月以上経過した時点のもの。〕
- 個人番号の確認ができる書類
- 本人確認できる書類
- 手帳に貼付する写真(たて4センチメートル、よこ3センチメートル、脱帽して上半身を写したもので本人と確認できるもの。申請のときから1年以内に撮影したもの)
詳しくはお住まいの市区町村窓口へお問い合わせください!
障害年金を既に受給している場合
障害年金を既に受け取っている方では、以下の書類で申請を行うこともできます。その場合、障害年金の等級と同じ精神障害者保健福祉手帳が交付されます。
- 精神障がい者保健福祉手帳申請書
- 年金証書及び直近の年金振込通知書又は年金支払通知書の写し
- 特別障がい給付金受給資格者証及び直近の国庫金振込通知書でもOK
- 同意書(年金事務所等照会用)
- 受給の状況等を年金事務所等へ照会する場合に必要となります
障害年金をもらっている場合でも、診断書を提出して普通に申請することも可能です!その場合は、障害年金の等級と関係なく、手帳の等級が判定されます!
「診断書」は必要ですか?
精神障害者保健福祉手帳の申請には、診断書は必要になりますか?
診断書は申請に必須の書類です!
初診日から6ヶ月を経過してからの診断書が必要となります!それ以前のものは無効なので注意してください!基本的には、精神科の先生にお願いすれば診断書を書いてもらえます!
また、専用の診断書が必要となることが多いので、市区町村の窓口で入手しましょう!例として、大阪市で用いられている診断書を下に掲載します!
「所得制限」はありますか?
精神障害者保健福祉手帳に所得制限はありますか?
所得制限はありません!
ただし、医療費が安くなる障害者医療費助成制度や自立支援医療には所得制限があることがあります!詳しくはこちらをご確認ください!
「年齢制限」はありますか?
精神障害者保健福祉手帳に年齢制限はありますか?
精神障害者保健福祉手帳の取得に年齢制限はありません!
「家族の代理」で手続きできますか?
精神障害者保健福祉手帳の手続きは、家族の代理でできますか?
基本的にはできます!ただし、多くの場合は委任状が必要となります!
また、お子さんが対象の場合は、本人の代わりに保護者が手続きをすることができます!
各市区町村によって対応は異なりますので、詳しくはお住まいの市区町村窓口へお問い合わせください!
「メリット」は何ですか?
精神障害者保健福祉手帳のメリットは何ですか?
精神障害者保健福祉手帳を取得するメリットは非常にたくさんあります!いくつか例を挙げていきます!
- 税金の控除
- 所得税、住民税、自動車税など
- NHK受信料の減免
- 障害者雇用での就職
- 公共料金の割引
- 交通機関、スマホ代、入館料など
- 公営住宅の優先的入居
ただし、他の障害者手帳では割引となるJRは、精神障害者保健福祉手帳では対象外です!その他私鉄は個別にルールが設定されているので、各社HPをご確認ください!
「デメリット」は何ですか?
精神障害者保健福祉手帳のデメリットは何ですか?
制度上のデメリットはありません!
しかし、手帳による割引を受ける際に、手帳の提示が求められることがあるため、これに心理的な抵抗を感じる場合があります。また、近くにいる人に見られてしまうこともあります。
精神障害者保健福祉手帳は2年に1回更新が必要なので、2年ごとに更新手続きや診断書の費用がかかってくることもデメリットと言えます!
「注意点」は何ですか?
精神障害者保健福祉手帳に何か注意することはありますか?
精神障害者保健福祉手帳を申請する上でいくつか注意しておくべきことがあります!
- 手帳が交付されても2年に1回更新が必要
- 原則、永久認定はありません
- 手帳を持っているだけで全てのサービスを受けられるわけではない
- 自立支援医療、医療費助成には別途申請が必要です。等級や所得によって利用の制限があります。
- 障害年金は自動的に給付されない
- 障害者手帳とは全く別の制度です。別途申請が必要になります。
- 表紙には障害者手帳とのみ記載される
- 他の手帳はストレートに表紙に記載されますが、精神障害者保健福祉手帳はプライバシーに配慮して障害者手帳とのみ表記されます。
- 手帳の取得は義務ではない
- 取得したくなければ取る必要はありません。
- 不要になれば、返納することもできます。